6.26.2008

ナオミとデーモン


日本に帰ってきてからというもの、あ~あ、みたいな気分が続いている。頭の中は、ぼわ~ん、としている。どろ~ん、というかんじでもある。うにゃうにゃにゃ、というのもあるな。くお~ん、も。あ~あ、ぼわ~ん、どろ~ん、うにゃにゃにゃ、くお~ん。要するに、12日間の間に日付変更線を二回超えたことによる時差ぼけとある種の緊張感から解放されたことによる脱力感と世界の僻地に戻ってきてしまったことによる厭世観とニコチンの禁断症状が微妙な配合でミックスされてしまったようなのだ。そうなのだ、タバコをやめたのだ。やめるのはじつは人生二回目なのだけど、とにかく再び、やめたのだ。どこへ行っても"No Smoking"の国に感化されたのである。...うそ。...いや、うそでもないけど、それより断然大きな理由は(というのは、日本に帰ってきてから最初の三日間はなんだかなーと思いつつも吸っていたのだから)、我らがランニングチームUJOSのキャプテン験さんが、この惑星最後の喫煙者になるのだろうと予想されたヘヴィスモーカーの験さんが、ハーフマラソンのスタート直前でさえ銜えタバコでアキレス腱を伸ばしていた験さんが、タバコをやめたからなのだ。この事実を知った時はとてつもなく激しいショックを受けた。たとえ、うちのおふくろが携帯電話を持つようになって「くくく。母さんだよ」みたいなメールがある朝突然届いたとしても、こんなにはショックを受けないだろう。人間は信用ならない! 残酷な生き物だ! 人の期待をよそにこんなにもあっさりと変わってしまうものなのだ! まあいいや。そんなわけでおれもやめた。どぶに捨てたよキャメルメンソール。グッバイおれの喫煙人生。だってやめないと次の大会でキャプテンに負けちゃうかもしれないじゃん。キャプテンに負けるということはチームのしんがりということだよ。帰り道は運転しなくちゃいけないということだよ。それはUJOSの元エースランナーとしてのプライドが許さないのだ。
 まあ、戯言はさておき、なんで日本はこんなにタバコが安いのだ? この事実にも頭にきちゃったんだよねえ。さあどうぞ中毒者になってください、と言わんばかりの値段でしょ。エコ、エコ、ってこんなにうるさい国なのに(それ自体は悪いことではないにしろ)タバコについてはめっぽう甘いんだよなあ。タバコ会社へのオヤジ臭い配慮が見え見え。もっと税金取れよ。そういうところからこそ税金取れよ。900円くらいにしろ。いやまあ、タバコに限らずね、オヤジ臭い配慮と癒着が横行してるよ、わが国では。

 あれ? こんなこと書くつもりじゃなかったんだけど。えーと、書こうと思ってたのは、ブルックリンのライヴハウスでDamon & Naomiを観たんだけど、すごく良かったよ、ということ。時代に逆行してるかのようなサウンドなんだけど、しびれたね。Galaxie500は大好きで、LUNAは初来日の時に渋谷で観てるんだけど、じつはDamon & Naomiは初めてだったんだ。なんとなく"残りの二人=The other two"というイメージが強かったんだけど、とても失礼な思い違いだった。で、終演後、LPを買ってジャケットにサインをもらったんだけどさ、Naomiに先にもらったものだから、サインが"Naomi & Damon"になってるんだよ。ちょっとまがい物ぽくってそこも気に入っている。

 写真とこの文章はまったく関係ありません。写真はニューヨークの地下鉄内で。