6.17.2008

シカゴにて


 シカゴにいる。何日目だろう。月曜だから四日目か。朝、8時半過ぎ。滞在先のジャスティンのアパートメントのすぐ近くにあるアートセンター内のカフェにいる(今、AirMacをオンにしてみたら、どうやらインターネットを使うにはここのメンバーにならないといけないみたいなので、文章だけ打ち込んでおいて、後ほどジャスティンの家でアップすることにしよう)。ここはシカゴのダウンタウンからバスで20分ほど南へ下ったミシガン湖畔の住宅街。シカゴは、概して北側が中流から上の人たちの居住区、南側が下層の人たちの居住区になっているらしいのだけど、このハイドパーク・エリアにはシカゴ大学(ジャスティンもここの博士課程に所属している)があるので、大学関係者をはじめとするインテリもたくさん住んでいて、その彼らとちょっとヤバめな黒人(もちろんヤバめなのは黒人のごく一部なのだけど)との共存が、なんとも言い難い不思議な雰囲気を醸し出している。この数日の印象では、黒人が60%、白人が35%、残り5%がヒスパニックとアジア系というかんじか。白人はメガネさん/くん/ちゃん(たとえメガネをかけていなくてもメガネが似合いそうな連中ーーウェス・アンダーソンとかエイミー・ベンダーとかマイケル・ムーアみたいなの)が多いかな。いけ好かないコンサヴァ/マッチョ金持ち白人みたいなのはあんまり見かけない。大半は民主党、とりわけオバマの支持者といったかんじ。というか、ジャスティンによると、ほんとにそうらしい。
 ジャスティンいわく「世界一ワンダフルな書店」である、シカゴ大学の生協の書籍部にはほんと感動した。もっとも、おれにはLiteratureのコーナーくらいしかわからないのだけど、その品揃えときたら! 週刊誌やファッション誌や人生教訓本やロマンスやミステリーが、まったく置いていない(ブコウスキーやチャンドラーやエルロイなどはちゃんとあります)のも潔くて(…潔く思えるのは日本人の感覚であって、彼らは大学内の書店なのだからそれは当然と考える)素敵である。迷いに迷って、結局、ヘンリー・ミラー(またかよ!)を二冊買う。ちなみに本は安くない。しかもイリノイ州の消費税は9.25%。
 ミシガン湖畔は芝の生えた公園になっていて、ジョギングやサイクリングや読書や友との語らいや愛の告白や考え事やうたた寝にうってつけ。もちろん走ったぜ。ジョガー多し。日本とちがうのは若い人の比率が高いということ。あと、iPodを手に持って(腕に巻き付けたりポケットに入れたりせずに、直に手で持って)走ってる人がけっこういるのが笑える。ゆうべは酔っ払ってからミシガン湖畔に行き、ダウンタウンの高層ビル群とその背後でたびたび発光する雷を観賞した。すっかり満ち足りた気分になり、しまいには半時間ほど微睡みさえしたのだが、今朝のニュースによると、ぼくらが「わぁーお!」「きれいだねー」「まるでショーだ」とか言いながら嬉々として眺めていた雲と雷は、ウィスコンシン州で大雨と洪水をもたらし、死者さえ出たのだという。世界というのはじつに多面的構造を擁している。
 今日はこのへんで。