6.25.2008

ニューヨーク、ブルックリンにて。そして……


 午前五時。ニューヨーク市、ブルックリンのホテル。マンハッタンじゃなくてブルックリンに滞在してるのは、おれがマンハッタンで浮かれるような田舎者ではなく、もっとヒップでスマートな人間だから。…うそ。…だって、マンハッタンのホテルは異常に高いんだもん。……いや、まあ、それもあるけど、ずっと、ニューヨークを訪れる時はブルックリンに来ようと思っていたのだ。やっぱ、ブルックリンでしょ。ウディ・アレンに「ブルックリン最終出口」にポール・オースターに「ナイト・オン・ザ・プラネット」に……あとなんだっけね? もっとも、ブルックリン、と言ったって、ニューヨークにある五区のうち、最大の人口を擁する区を指すわけで、面積も広く、地図から察するに、というか、かなりラフな目分量だけれども、世田谷区と大田区と目黒区を合わせたくらいの広さはあると思われるので、場所によって様々なんだろうけど。
 ところで、タバコが吸いてえよ。アメリカに来てから、まだ二本しか吸ってないんだけどね。吸う場所も非常に限られてるし値段も高いし(銘柄によってじゃっかんの違いはあるものの概してイリノイ州で7ドル、ニューヨーク州で9ドル)。吸った1本はシカゴのブルーズ・フェスティヴァルで、マックスが黒人のちょいクレイジーなじいさんにもらって美味そうに吸ってたからおれもつい便乗して。もう1本は、アムトラックの長〜い停車中に、ジャストサイズの黒シャツにスリムなグレーのスラックスに先の尖った革靴をはいたおしゃれだけど場違いなロシア人の男に、半ば強引にすすめられて(なんとケイシーはメガネのくせに!自分のタバコを持っていた。そしてさすがロシア文学専攻、いつのまにかロシア語で会話してる)。この2本目のパーラメントが効いてるなあ。五臓六腑に染み渡ったもんなあ。くっそーロシア人め。要らないって断わったのに……最初は。
 まあいいや、ホテルはもちろん禁煙だし、こんな朝っぱらから売ってるとこないだろうし……で、話を戻すと、ブルックリン、いいよ〜。もう、マンハッタンは行かなくてもいいかな、と最初は思ったくらい。まあ、行ったけど。今日も行く予定だけど。マンハッタンに行くというよりは、美術館にね。昨日はブルックリンの5th Ave.と7th Ave.をぶらぶらした。昼時、7th Ave.でたまたま通りがかったこぢんまりしたイタリアンレストランに入って、ランチを取ったのだけど、めっちゃ美味かった。アメリカに来てから一番美味かった。いやいや、アメリカではぶっちぎりのダントツで、人生の中でもイタリアン部門ベスト3に入るくらい美味かった。出てくるのがやたら遅かったけどね。その間についついワインを飲み過ぎてすっかり酔っ払ったぞ。だって注文してからメインのパスタが出てくるまで小1時間。ランチ時で混んでたってのもあるけどそれにしてもね。だけど、おれ以外のみんなはとくに気にするふうでもなく、ぺちゃくちゃおしゃべりしつつ本や新聞を読みつつ、待ってるんだな。むしろ最も時間的余裕があるのは旅行者であるおれのはずなんだけど。あれ、そこの白衣を着た人を含む団体さん、昼休みじゃないの? そこのおねえさんも? 昼休み何時間?

……とここまで書いて、続きはまた夜にでも……のつもりが、その後はまったく書きたくなくなって、あるいは書けなくなって、もう日本。川崎の自宅。ゆうべ帰ってきた。時差ぼけの午前五時。
 書きたくなくなったor書けなくなったのは、やっぱニューヨーク、刺激強すぎてね。いろいろ思うこと考えることありすぎてね。たぶん、それを即席の文章にできなくなったんだと思う。軽薄な文章にしたくなかったんだと思う。文章書くのって難しいわ。ブログだからなおのこと難しいのかもしれんが。毎日のようにぎょうさん書いてる素人ブロガーの方って、凄いよなあ。あ、もちろん、今のには皮肉の毒薬が混じっています。ははは。

 その後の数日間In NYについては(いや、アメリカ旅行全般について、と言ったほうがいいか)、おいおいここで、あるいはどこかで、書くことにします。そのまんま、あるいは(こっちのほうが可能性は高いけど)、虚構を交えて。

 一言だけ。
 ……いや、止めた。
 ではまた。