10.13.2007

ある島の可能性

 たまには本の話を。
 つい先日、ミシェル・ウエルベックの「ある島の可能性」を読み終えた。読みはじめたのが、たしか四月の末とかだから、なんと五ヶ月半くらいかかったことになる。もっとも、ここ数年は、一冊の本を一気に最後まで読むということはあまりなく、何冊かの本を並行して読むというのが習慣になっているし、とりわけこの本は、途中、ベッドの下に落ちていることに長いこと気が付かなかったり、普段使わない鞄の中に入れっぱなしになっていたりしたのだが。それにしても時間がかかった。ひょっとしたら最長記録かも。こう書くと、まるで面白くなかったみたいだけど、そうではなくて、むしろすごく面白いのだけど、一方で、身につまされるというか、痛々しいというか、要するに重量級で、対峙するのにけっこうな気合いが必要だったのは正直なところだ。ともあれ、こんなふうに時間をかけたことで、結果的に物語がぼくの奥深くまで染み込んでいった。体内に新しい器官ができちゃったみたいなかんじ。こうして読書というものは時に生きることとほとんどイコールになってしまうのだね。