1.24.2009

マッチョなおれ

先週の日曜は千葉・幕張でハーフマラソンを走った。滑り出しは上々。真冬用のプレイリストもばっちり。すべてがデカ過ぎて風景の変化には乏しいが、コースは広くて走りやすい。が、寒さのせいもあってスタート時にすでにうっすら感じていた尿意が12キロあたりからだんだんただならぬものに。14キロあたりでおしっこのこと以外なんにも考えられなくなる。脳も膀胱の一部であるかのような気がしてくる。おれは膀胱。膀胱はおれ。All I Need Is Pee. おしっここそすべて。15キロ手前、コース脇に公衆トイレを発見。嬉々として駆け込む。うはあ〜。気持ちE〜。たまんねえな、こりゃ。セックス、ドラッグ、アンド、ピーか。と、日常生活ではめったに体験できない驚異的な放尿のカタルシスを存分に味わったものの、いったん止めてしまった足は走り出そうにもやたらと重い。気持ちも切れてる。あ〜あ。結局、17キロ地点くらいまで歩行することに。老若男女、たくさんの人に抜かれてゆく。みんながんばる人。おれダメな人。いや〜。ほんと、みんながんばってんだよなあ。それぞれのペースで。それぞれのスタイルで。なんのために走るのだ?誰に頼まれたわけでもないのに? おれもよくわからない。が、このまま歩いてゴールするわけにはいかない、という気持ちは徐々に強くなり、やがては歩いていることのほうが苦しくなり、ちょうどきれいな女性に抜かれたのを機に、つまり、その優美な後ろ姿を当面の目当てに、再び走り出したのだった。あとは根性。ゴールは千葉マリンスタジアム。1時間57分28秒。

木曜日は若い男衆と飲んだ。というかまあ、年齢なんてたいして気にかけていないのだが、訊けば、平均おれの一回り下。みんなおれの小説を愛読してくれてる。いろいろしゃべってるうちに、ひょっとしたらこいつらがこの世界を変えてくれるのかもしれない、と思う。いや、世界じゃない、社会だ。世界、といったほうが語感もいいし、クールでもあるのだが、そういうヌルいスマートさになびいて、結局ほとんどなにも、少なくとも本質的なことはなにも、変えられなかったのが、おれたち以前の旧世代という気がしなくもない。いっそ世界なんてどうでもいいんだよ。それよりまずは社会なんだって。目の前の敵を見極めろ。……あれ?話が逸れてる? つーか、いつになく、マッチョなおれ。ま、ともあれ、彼らから精気と刺激と知識をたっぷりもらって帰ってきた。サンキューね。