1.29.2010

ミゲルは永住権をもらえず、コールドプレイに胸を打たれ。

先週の千葉マリンハーフマラソン。高速で事故があったらしく、かつ、幕張メッセで別のイヴェントがあるらしく、大渋滞に巻き込まれ、駐車場に車を入れたのはスタート数分前。受付でゼッケンをもらったところで、スタートのピストル。もう仕方ないから、ゼッケンはそのへんに捨て置き、タイム計測用のICチップだけ尻のポケットにつっこんで走った。そのわりに前半快調。天気は快晴。潮風は快適。ゼッケンがついてないことでなんとなく不法入国者のような気分になっている。後ろのほうから走ったこともあって、まわりにはペースの遅い人が多く、どんどんパスしてゆく。このまま遅い奴らを掻き分けて全体の半分までいったら永住権がもらえるんだ、がんばれミゲル、などと後で冷静に考えれるとわけのわからない妄想で頭を遊ばせつつ、走る。10キロを過ぎたあたりから、右足の裏が痛くなりはじめる。あわててスタートしたので紐の結び方(靴の履き方)がまずかったのかもしれん。いつも履いてるアディダスのソックスに穴があいてることが判明し、急遽べつのあまり履いていない(しかも滑り止め付きとかの)アシックスのソックスにしたのがまずかったのかもしれん。15キロを過ぎたあたりから、足の痛みのことしか考えられなくなる。びっこ走り。泣きそうになってくる。というか、半べそ。涙は出ないけど、半べそ。19キロ手前、ついに我慢の限界、足を止めてしまう。500メートルくらい歩いてから、再び(歩くのと変わらないようなスピードで)走ったけどね。ゴールもしたけどね。あーあ。ミゲル、永住権はもらえず。労働ビザの支給のみ。しかも半年間の。ゴール後、足裏を見たら、皮が剥けてかなり悲惨なことになってたんだけど、それでもあと2キロくらいはどうにかなったんじゃないか、ほんとうに永住権がかかっていたら走り続けたろうに、などと、今となっては足を止めた自分に納得がいかない。

その晩、家人がなぜか突然、コールドプレイを聴きたがり、YouTubeで見聴きする。Yellowに、わりと、どころか、かなり、いや、ものすごく、胸を打たれる。そういや、これ、CDを持ってたよな、と思って家中を探すが、見当たらず。ああそっか、バカ売れ糞バンド、とか思って、いつだったか、飲みに行くお金がない時に売っぱらってしまったのだ。その流れで、同じくYouTubeで、トラヴィスを見聴きする。同じように、強く胸を打たれる。こちらもまた、かつてはCDを持っていたのだが、クソ売れ感傷バンド、などと思って、売っぱらってしまったのだ。あまのじゃくだとは思うが、メジャーになり過ぎると嫌になる、という習癖を持っている。あと、メロディーがきれいなものは飽きてしまう、という傾向も持っている。ま、後者のことについて話すと長くなるので割愛するが、前者は問題だな。売れようが売れまいが、そんなこと音そのもの表現そのものには関係ないじゃないか。コールドプレイやトラヴィスがいいと思ってしまう自分を受け入れられない、とか、それらをいいと思っているとまわりの人にどう思われるかな、みたいな気持ちすら働いていたような気がする。大馬鹿である。

とまれ、家人に言わせれば、この手の音楽は、たまにだけどものすごく聴きたくなる、ものなのだから、持っていたほうがいい、のだそうだ。この、持っている、という感覚は、データかつPCで、音楽を聴くことに慣れている若い人たちにはいまいちわからないかもしれないが、やはりぼくらなどは、CD、できれば、レコード、で、ちゃんとステレオのスピーカーをふるわせて聴かないと、聴いた気がしない、とまでは言わないが、少なくとも堪能した気にはなれないのだ。シャワーだけでも体は洗えるんだけど、やっぱバスタブに浸からないと……みたいな感覚だろうか。あるいは、バスタブの深さ、の問題か。

昨日、下北に行ったついでに、レコファンに立ち寄り、新入荷中古品の棚に、くだんのCOLDPLAY"Parachutes"とTRAVIS "The Man Who"を見つけたので、さっそく購入した。かつて、売っぱらったそれらを、再び。

というわけで、今、遠慮なしに、大音量で、イエローを聴いている。こんなに大音量で、イエローを聴いてるやつはそうそういないだろう。……Yeah they were all yellow のライン、いいよなあ。BlueでもOrangeでもなく、Yellow。