6.24.2009

鈴茂の週刊フィルム・レヴュー

『レスラー』ダーレン・アロノフスキー監督、ミッキー・ローク主演
☆☆☆☆☆
星五つ。いっそのことどっかから星を半分もぎ取ってきて五つ半にしたいくらい。そして、いきなり我が人生のベストテン入り。しばらくはランキング1位を暴走するだろう。素晴らしい。素晴らしすぎる。……それ以外に何を言えばいいだろう。ダークサイド・オブ・アメリカン・ドリーム。失意と痛みとそんな中から静かに立ち上がってくる希望と。……希望? あれは希望なのか? 諦念とも言えるんじゃないのか? ちょっと待て。褒めすぎのような気もしてきた。いや、素晴らしすぎるのはウソじゃない。しかし、その一方で、痛すぎる、悲しすぎる。……ああそうか。映画そのものの素晴らしさと描かれている人生の痛々しさや悲哀を混同してしまうのかもしれない。映画であって同時に映画じゃなくなる映画……という言い方でなんとなくわかってもらえるだろうか。そう、鎮魂歌のように。うん、そうだ、これはレクイエムなのだ。不器用でひたむきな、だからこそ悲劇性を纏ってしまう人生へのレクイエム。なんだか論旨がねじれてしまった気もするが、まあ許せ。最近は、脳細胞がどんどん死んでいってるように感じる。ほんとうなんだ。やばいな。まだするべき仕事はたくさんあるんだが。やっぱタバコはやめるべきか。……タバコって……なんか考えることがちっこいな。……話が逸れてる。久々の主役を演じたミッキー・ロークが素晴らしいのはさておくとして、ストリッパー役のマリサ・トメイがとんでもなく素晴らしい。場末のストリップ・バーで、オッパイ出してケツ振って、それでもなお優美さを失っていない。あの役をあんな風に演じられる人は、他にいないんじゃないか。というか、あのクラスの女優が、あそこまでしてくれるんだ?と正直思ったね。今の日本にはいないだろうなあ。まあ、土壌が違うんだから、比べる必要もないかもしれないが、そんなこともおれは考えた。いや、土壌が違う、なんて、言い訳に過ぎない気もする。アートはアートだ。土壌が、なんて言ってたら、アートにならん。アートは土壌を凌駕する。はずだ。……また話が逸れたぞ。ま、とにかく、マリサ・トメイが素晴らしい。彼女にもっともっとたくさんの賞をあげるべきだ。……ああ、がんばって、今日のレヴューは英語で書くべきだったかもしれない。英語ならば、彼女が目にしないとも限らない。可能性はゼロじゃない。……マリサさん、ありがとう、あなたの仕事に胸を強く打たれました。Thank you,Ms.Marisa Tomei.I was greatly touched with your performance on The Wrestler.

いつものごとく、複雑な気持ちになったところで、今日は終わり。
前のエントリー(ハハ! 新しい言葉を使ってみた、新しいってもちろんおれにとってのという意味)でお知らせしたとおり、来週月曜の夜に下北沢CityCountryCityでDJをやります。時間が許す方はぜひとも。