10.26.2007

José Gonzáles

 このところ、ipodは車に繋げっぱなしだし、nanoはもっぱらランニング用だしで、歩きながら音楽を聴くということはしていなかったのだけど、この間ひさしぶりに白いイヤフォンを両耳に突っ込んで出かけた。たまにはいいよね。本はあんまり読めなくなるけど。で、ホセ・ゴンザレス José González.ちょうどその時、渋谷区円山町の入り組んだ路地を歩いていたのだけど、持っていかれたね。歌詞の内容なんてさっぱりわからないのにね。不思議だね。円山町の入り組んだ路地が、あたかも世界そのものの迷宮であるかのように感じた。ここから出られるのかという不安と、このままここで迷わせてくれっていう願望と。
 そのあと、下北のレコファンに寄ったら、なんとホセの新譜が出ているではないか。買おうといったん手に取ってやめた。今週土曜のHMVがトリプルポイントなのを思い出したのだ。感動したわりにはせこいおれ。

10.18.2007

待つ女

昨日の夕方、ふいに思い立って、映画を観に行った。ジャン=パスカル・アトゥ監督『待つ女』。暗くて重くてエロい映画だった。なのに、観終わった後、心は潤っていた。かつ晴れやかでもあった。宮益坂の夜風がとても心地よかった。すれ違う人々に微笑みたい気分ですらあった。暗くて重くてエロい映画にしかもたらせないポジティヴな気分というのがあるものだ。どうかこれからも暗くて重くてエロい映画が作り続けられ、それが日本語の字幕付きで観られますように。などと、つい願ってしまうのは、映画館があまりにもガラガラだったからなのだけど。

10.16.2007

サワコ、女たち

こんにちは、はじめまして。秘書のEです。FOILのWeb連載「女たち」の第2話がアップされております。ぜひお読みください。作品の感想などもFOILのほうにどしどしお寄せください。お待ちしております。

10.13.2007

ある島の可能性

 たまには本の話を。
 つい先日、ミシェル・ウエルベックの「ある島の可能性」を読み終えた。読みはじめたのが、たしか四月の末とかだから、なんと五ヶ月半くらいかかったことになる。もっとも、ここ数年は、一冊の本を一気に最後まで読むということはあまりなく、何冊かの本を並行して読むというのが習慣になっているし、とりわけこの本は、途中、ベッドの下に落ちていることに長いこと気が付かなかったり、普段使わない鞄の中に入れっぱなしになっていたりしたのだが。それにしても時間がかかった。ひょっとしたら最長記録かも。こう書くと、まるで面白くなかったみたいだけど、そうではなくて、むしろすごく面白いのだけど、一方で、身につまされるというか、痛々しいというか、要するに重量級で、対峙するのにけっこうな気合いが必要だったのは正直なところだ。ともあれ、こんなふうに時間をかけたことで、結果的に物語がぼくの奥深くまで染み込んでいった。体内に新しい器官ができちゃったみたいなかんじ。こうして読書というものは時に生きることとほとんどイコールになってしまうのだね。

10.05.2007

アルファロメオとジュディ・シル

ここんところ、アルファロメオ(うそ)を運転しながらジュディ・シル(ほんと)をリピートで聴いているのだけど、いいねー。すごくいいよ。なにを今さらジュディ・シル?とか言わないでね。今さら、とかそういうの、俺関係ないんだから。ジュディ・シルのCDを買ったのはけっこう前なんだけど、家で聴くといまいちだったんだよ。それがアルファロメオ(うそ)で風を切りながら聴くとすげえいいんだよ。やっぱ、シチュエーションて大事だな。レゲエを真冬の東京で聴いたりできんのかな? そりゃできるか。何を言いたいんだ俺。眠たいんだよ。眠たいんだけどわりとハイなんだよ。よっしゃ、これからアルファロメオ(うそ)で深夜のドライヴに出かけようかな。もちろんカーステには入りっぱなしのジュディ・シル。きっと俺をべつの次元へ連れてってくれるだろう。悲しくて切ないけど、なのにとても穏やかで優しい、最後から二番目の夏の終わりみたいな時間と場所に連れてってくれるだろう。

10.01.2007

眠る男

これってちゃんと誰かに読まれているのかなあ。カウンターがないので奇妙な気分。コメントもないので不思議な気分。コメントちょうだいよーってことが言いたいわけじゃないんだけど。

じつはぼくはあまり人のブログとか読まないんだけど、最近はとりわけ読まないんだけど、久しぶりにお気に入りに入れてある何人かのブログを読んだら、面白かった。みんな生きてるなあ。それに比べておれのは面白くないねえ。おれは生きてないのか。

先週末は編集者のS氏が我が家に遊びに来てくれたのだけど、ベルギーのビールと南アフリカの白ワインとアルゼンチンの赤ワインと日本のサッポロビールをぺろぺろ舐めているうちに思いのほか酔っ払い、気付いたら寝室のベッドで寝ていた。お客さんが家に遊びに来て最も話が盛り上がると思われる9時半くらいから11時50分くらいまで寝ていた。なんたる失態。しかし時間は取り戻せないのでほとんど無理やり泊まってもらった。そういえば、新居に泊まってもらった初めての客人である。

翌日の日曜日。このごろは走るのをサボっていたので日曜は絶対走ろうと思っていたのに、二日酔いと雨に託つけて走るのをやめ、駒沢公園のジョギングコースを妻と傘をさして歩いた。とうぜん、雨の中でも走ってる人々がいる。すげえ気持ち良さそう。いいなーいいなーいいなーと思いながら傘をさして黙々と歩いた。今週末はたとえ雹が降っても走るぞ。

その後、リンゴをもらいにEの家へ。べつの友人夫婦も来ていて、結局晩ご飯をごちそうになる。しかし、サッポロビールと(たしか)イタリアのスパークリング・ワインと(たしか)フランスのワインを舐めているうちに、またもや眠くなって、ソファで1時間ばかり寝てしまう。友人夫婦のもうすぐ二歳になる女の子は起きて遊んでいるのに、おれは寝てしまう。みんな、楽しそうにおしゃべりしているのに、おれは寝てしまう。それはとてもとても大切なおしゃべりだったかもしれないのに、おれは寝てしまっている。どうなっているのだ。

そして家に戻って、妻の穏やかな寝息を小耳に挟みながら、おれは眠れないで、この世界の正体不明の物音を聞いている。枕元の黒猫が半ば呆れ顔でおれを見ている。